「もう卒業だね」
河辺に着いたあたしたちは、階段になっているところに座った。
夕日が水に反射して、辺りを赤く染める。
なんだかそれが幻想的で、しんみりつぶやいた。
「1年間だけだったけど、梨佳たちのおかげで楽しかったよ。ありがとう」
肩が触れるか触れないかの距離から降ってくる優しい声が、あたしの心臓の速さをいっそ早くする。
「隼斗クラスに馴染むのめっちゃ早かったよね」
「いいクラスに恵まれた」
チラッと見た隼斗の横顔は息を飲むくらいキレイだった。
夕日に照らされて、隼斗の頬にまつげの影が長く伸びる。
手を伸ばせばすぐ届く距離にいるのに、なぜだか遠く感じた。