「明日、2人で帰りたいんだけどいい?」
卒業式が3日後に迫った今日。
帰りのHRが終わり、いつも通り帰りの準備をしていたら、隼斗が後ろを向いて言った。
あまりにいきなりで、予想もしてないことが起こったから、思考停止。動作停止。
隼斗の妙に真剣な目があたしをじっと見つめている。
「うん……大丈夫だよ」
動揺しながらも、笑顔を作って答えた。
隼斗は安心したように、「よかった」と笑って前を向いた。
少し、期待してる自分がいたり。
隼斗から誘われるなんて初めてで、状況を理解するのにも、時間がかかった。
驚きと嬉しさが混じったなんとも言えないこの感じ。
恋が始まるあの瞬間に似ている。