いきなり呼び止めたあたしのことを隼斗が見つめる。 視線が交差する。 その目に少しひるんだが、ここで逃げたらダメなのは、あたしが1番わかってる。 「今日ね、友達にチョコ配ったんだけど余っちゃったんだよね。自分で食べるものあれだからあげるよ」 言い訳がましく、早口で。 でもそれが今のあたしができる精一杯だった。 カバンから素早く取り出したチョコを、有無を言わさず隼斗の手の中へ押し込んだ。