バレンタインの前の日、日曜日。
あたしの親は仕事で家にいなかったから、美月を呼んでチョコを作ることにした。
2人で台所に材料を並べる。
えーと、なにをすればいいんだ?
お互い違うのを作ろうとなったため、材料が多い。
料理が苦手なあたしは、それだけで頭がグルグルだった。
「なにしてんの。梨佳はタルトでしょ?簡単じゃん。チョコ溶かして流し込むだけだよ」
そう言いながら、美月はマフィンを作るため、袋を開けていた。
いつもテキトーで大雑把なのに、なんで料理はできるんだ……
ちょっとした敗北感を覚えた。
美月には失礼だけど。