「梨佳が誕生日パーティーの時言ってたこと、あの時は理解できないって言ったけど、やっぱなんかわかるな」
なんのことだかわからず、首をかしげたあたしに「このままがいいってやつ」と付け足した。
「あたしは告白したけど、その後やっぱ気まずくなるのは嫌だったし。だから友チョコは作るかな!」
ちょっと悲しそうな顔をしたのを見逃さなかった。
多分美月は、まだ健吾のこと好きなんだな。
だから友チョコとして、健吾にチョコを渡そうとしてる。
いつも突っ走る美月が、こんなに慎重になるなんて。
ほんとに健吾のこと、大好きで、それ以上に大事なんだな。
「友チョコとしてなら普通に受け取ってくれるよ」
美月は笑ったけど、やっぱその目は悲しそうに見えた。