「珠利、すずちゃんのお父さんから?」

「うん」

珠利は悲しそうに答える。

そして、涼夏が家族と連絡を取ってないことを話した。

「なんか悲しいな。家族とそうなるなんて」

真実は珠利の手を握りしめて言う。

「涼ちゃんは家族と離れて、ソープ行って…本当に幸せなのかな」

珠利は悲しそうだった。

真実はただ見守るしかなかった。

ワイシャツを着てズボンをはいて、珠利を抱き寄せた。

真実もどうにかしてあげたいと思った。

愛しい珠利を抱きしめながら、口にした言葉は

「タトゥーをなぞらせることも愛してるという言葉もキスすることもすべては珠利だけだよ」

珠利の潤んだ大きなまなざしが輝いた。


このときはまだ約束が消えてゆくとは二人は知るよしもなかった。