そして、冬理がリクエストしてくれた曲が終了して後ろから声がした。

「あれ、真実くん?」

その声の主はなんと、以前一緒にラーメン食べに行った涼夏の友人・誠也だった。

「大平さん!!ここで働いてたのですか!?」

驚いた声を出す。

「こら、ここで大きな声で本名呼ぶなよ(笑)」

お互い出会ったことに誠也驚いてしまった。

「俺はここでは月が登ると書いて、ゲットというんだ。よろしく。今日は同伴だったんだ」

誠也は源氏名が月登(げっと)であることを説明した。

「俺は命と書いてミコトっていう名前なんです」

「ミコト!?一体誰だよ。源氏名付けたのは」

男にしては少し珍しい源氏名に誠也は由来が気になった。

「おまえら、知り合いだったのか!?」

先月No.1のひなたは驚きながら聞く。

誠也はこの間、一緒にラーメン食べに行ったことを話した。

「世の中狭いな」

梨王が笑う。

そこへ、常にナンバー入りしている勝浦(しょうら)が真剣な表情でやってきた。

「おい、月登。席あのままにしておいたらやばいよ。美乱がまたおまえの客にちょっかい出すぜ」
知らせに来てくれた。

「やべえ、じゃあまた後でな」

月登は急いで席に戻った。

そこへ売れっ子のなごんもやってきて、

「それじゃあ、三人の友情にちなんだ曲でも聴きたいな」

にこやかにリクエストした。

ひなた、勝浦(しょうら)、なごんの三人は和歌山出身で地元ではサッカーをしていた。

三人仲良く上京してきて、ホストになったが、一番最初に売れたのはなごんだった。

ひなたはオシャレでイケメンにも関わらず、売れない日々が続いて時には悩んでケンカしたこともあった。

今はエースが現れ、ナンバー入りするようになった。

ひなたは顔が少し長く浅黒い、目はクールな感じだが、全体的に見ると親しみやすいところが魅力だ。

勝浦は名前の響きからして、大人の男性を感じさせるが、見た目はディズニーのキャラクターみたいにかわいくて、年上から可愛がられそうなタイプだ。

真実はこの店は本当に賑やかで楽しそうだと思った。