「頑張って福祉関係の仕事をするために、勉強するためにバイトしてるわ…。男の人に体を売って」

明るい真実に対し、珠利は少ししょんぼりしている。

「あんなふうになるなんて、私のアドバイスがいけなかったのかな」

「珠利、そんなことは言わないで欲しい。俺がもう言わせないようにしてやる」

ピアノ椅子に座りながら、抱きしめ、一気に珠利の唇を奪った。

しばらく、息が出来なくなるほど。

「真実、苦しいよ。息が出来なくなるじゃない(笑)」

珠利は唇を離した。

「何も言えないようにしてあげた」

笑いながら真実は言った。

「えっ」

珠利は真実を見つめる。

「風俗だって、りっぱな仕事だよ。すずちゃんが選んだことなんだし、もっと勉強がしたいっていうから、頑張ってるじゃないか。珠利がそんなこと言う必要はない」

身体が傷ついていく涼夏のことが気になっていたが、珠利は真実の言い分に納得した。

「すずちゃん自身は自分の生活に満足できても、彼氏が出来たとき、その彼がかわいそうだなって」

珠利は真実の首にあるタトゥーをなぞり続け、

「私なら、真実が他の女の人とキスしたり、愛してるよなんて言ったりするなんて考えられない」

その言葉に真実は

「珠利と別れない限り、珠利を愛していくよ」

「お願い。私以外の女の人にタトゥーをなぞらせないで」

珠利は真実が他の女性とスキンシップしたり、じゃれ合うことなんて、想像したくないはずだ。

そして、いつの間にか、ベットの上だった。

「珠利、甘い香りがするよ」

何故か指摘するような様子だ。

「わかる?さっき“かるかん”を食べたの」

かるかんとは鹿児島名物のお菓子だ。

「ずるいな。俺も食べたい」

「真実のぶんもあるよ」

じゃれあいながら言った。