涼夏の親戚にあたる吉本望(よしもとのぞむ)。

埼玉の高校に通う3年だ。

望は涼夏の母・美千代の鹿児島の鹿屋(かのや)に住む二番目の兄の孫だ。
つまり、望の父親と涼夏はいとこ同士になる。

まだ若いながら気配りが出来て思いやりがある望は涼夏たち家族のことを気にかけてくれた。

だから、今日は善に付き添うことにした。

もっとも、高校生に勉強が教える能力がある善はたまに親戚たちの勉強をみてあげることもあり、望も今日は勉強教えてもらうという目的もあった。


しばらくお茶をしながら、珠利は善の相談ごとを聞いていた。

時間が経ち、

「今日は話に付き合ってくれてありがとう」

善は感謝した。

「こちらこそ、あまりお役には立てませんでしたが」

珠利は謙虚に返事した。

「おじさん、珠利さんは俺が送っていくよ」

「そうか」

「後でホテルに行くから」

「わかった。あとでしっかり勉強しような」

今日は望は善とホテルに泊まることになっている。

最近、望の成績があまりよくないので、望の両親が心配になり、こうして善に頼むことになった。

そして、善自身も望は親戚の中で涼夏と一番仲が良く、今でもそれは変わらないので、涼夏の情報を聞き出すのにちょうどいいと思った。