色黒の肌とこげ茶色のふわふわした短髪はやんちゃそうにみえるけど、きりっとした目元と薄い唇でクールにもみえる。

薄くて甘い顔立ちのその人と目が合った瞬間、あたしは感じたことのない想いを感じた。

“ビビっときた”っていうのはなんだかちがう…胸がキュンとして甘いときめきを感じるけど、それがなんでかはわからなくて。

「……あ、大丈夫です」

頬が熱くなるのを感じながらそう返すと、その人はふわっと幼い笑顔を浮かべてくれた。

クールな印象だったけど笑うといっきに幼くなるその人に、あたしはもしかしたら……ひとめ惚れってやつをしたのかもしれない。

「……その本。──高校ってめっちゃ頭いいとこですよね」

「あ、はい。弟がこの高校受けるから借りにきて。
でも読み方わかんないから返せなくて迷ってたんです」

……あたしはばかですといってるようなものだけど、それよりもこの人が話しかけてくれたのが嬉しくて。

気付いたらそう返していた。