まわりはみんな恋人がいて、好きな人すらいないあたしはうらやましく思っていた。

……だからかもしれない。

好きじゃないのに…“人として好きだから”って理由で、桐生(きりゅう)からの告白をおっけーしてしまったのは。

『桐生遙:今日はありがとう。
まじで嬉しかった。改めてよろしくな』

桐生からのそんなラインに、また気分が重くなる。

クラスメイトだけど必要事項くらいしか話したことがなくて、桐生のことを“クールで優しくてモテモテの人”くらいにしか思ってなかった。

なのになんで付き合うって決めちゃったのか、今になって後悔しても遅くて。

『うん。よろしくね!』

気持ちを悟られないようにそう返して、あたしは携帯を閉じた。