「他に社員さんとか雇ったりはしないんですか?」

基本的にここは遥さんとバイト一人というローテーションが多い。

一人いなくなるということは単純に一人で店を切り盛りしている事になる。

「もともと私のお父さんが始めた店なんだけどね。

なんだか閉めるのが勿体なくて私がだらだらやっている感じかなぁ。

別に儲けたいとか思っているわけでもないし、今のままでも十分やっていけるから。

あ、もし夏樹君が就職先見つからなかったらうちで雇ってあげてもいいわよ?」

「それはうれしいんだかうれしくないんだか・・・」

「そうそう。もし今日予定空いてるなら千秋ちゃんに渡してほしいものがあるんだけど、お見舞いをかねて届けてもらえないかしら。」


「え、何で俺が?ってかあいつの家なんて知りませんよ?」

「そんな事言わずに。地図も用意したから。私はお店があるから離れるわけにはいかないのよ。」



問題はそこじゃない気もするが、遥さんの頼みなら仕方ない。