「あのさ、ふと気づいたんだけどよ。」

3カ所目の公園についたとき、運転席から健吾が乗り出してきた。

「ガイドブックに乗るような所に俺らが探しているような桜ってないんじゃないか?」

あー確かに。

「ならどこを探せばいいんです?」

明らかに気分を害したであろう千秋が突っかかってきた。

「そりゃあ、山奥とか、渓谷とか、それらしいところがあるんじゃないか?」

そもそもプロの写真家が見つけられなかったり、代々にわたり伝承されているくらいなので、少し探して見つかるわけもない。

そんな簡単にみつけてしまったら桜のメンツも丸つぶれである。


「私おなか空いちゃった。せっかくだからここでお昼にしましょうよ~」

きっと千秋の中ではもう桜なんてどうでもいいんだろう。