「ほっんと先輩って言うことがつまらないですよね。夢の一つや二つないんですか?」

「夢ねぇ・・・」

ふとあの少女の言葉が脳裏に蘇った。

「そりゃあ夢くらい・・・」

そこまで言いかかって次の言葉に困る。

夢と言われてもすぐには思いつかない。

確か小さい頃はパン屋さんとかパイロットとかそんなことを言ってた気もするが
遙か昔の記憶である。

そういえば最近自分のやりたいことが非常に曖昧になってきたと実感している。

結局流されるまま高校に入り、大学に入り、はては大学院まで来ている。

さすがにこの年齢でパン屋さんとか言い始めても鼻で笑われるかあきれられるかいずれかだろう。

そもそも夢ってのはいったい何なのだろう。

自分の理想なのか、希望なのか。はたまた叶わぬ幻想なのか。



「そういうお前には夢とかあるのかよ?」

「ありますよー。でも先輩には秘密です」

エヘヘ、とごまかすような笑みを浮かべた。

「そんなことよりも予定決めましょうよ。ね?」