レースもラスト1周となり声援にも熱が入る。
ラスト1周になるころには半周ほどの差があったにもかかわらず、先頭集団に近づきつつあった。
「須崎先輩!!!あと1周ですよ!!頑張ってください!!!」
私はありったけの声で先輩を応援した。
私の声は先輩に届いているのか分からない。
そしてラスト半周で5人がいる先頭に追いついた。中には県で一番の選手、諸角さんもいる。
ここから先、勝負がどうなるかなんて分からない。
すべては須崎先輩次第だ。
半周過ぎてからレースが動き始めた。
一人、先頭から飛び出した人がいた。県で一番の選手だ。
そんな中、須崎先輩は集団を追い抜き始めいつの間にか3位に浮上していた。
「先輩!!頑張れ!!!」
私は先輩に向かって叫んだ。
そして、諸角さんが1番でゴールをした。
続いて2番は‥
須崎先輩だった。
須崎先輩は3位にあがって、2位の選手を追い抜いていた。
会場が歓声に包まれる。
「やったー!美凪!!」
智未ちゃんが私に抱きついてきた。
「と‥智未ちゃん‥。」
すると、なぜか私の目には涙が溢れてきた。
それと熱い気持ちも溢れてきた。
須崎先輩。こんなにも熱くさせてくれてありがとうございます。
やっぱり私は‥真っ直ぐな、須崎望先輩のことが好きです‥。
それから先輩はクールダウンをするため建物の中に入ったようだった。
私は急いで先輩が入ったと思われる通路に向かった。
通路に向かうと一直線にのびる通路の向こうには壁にもたれる、ある一人の選手がいた。
逆光で誰だか、分からなかったけどどこかで見覚えのある体格だった。
「す‥須崎‥先輩?」
本当に先輩かどうか分からなかったので、遠慮気味に聞く。
すると‥
「‥‥美凪?」