夏休み前の昼休みのこと。


私は智未ちゃんと教室でお昼を食べていた。


「ねぇ、智未ちゃん。私さ‥須崎先輩のこと好きなんだ‥。」


「知ってるよ。」


意外にもあっさりとかえってきた。


ちょっとぐらいで驚いて欲しかったなー。


そんな気持ちを押さえつつも私は続けた。


「なんで知ってるの?」


「だって美凪、分かりやすいんだもん。」


そ‥そんなに私、わかりやすい反応してたかな‥。


私は赤くなった頬を触ってみる。



「‥で、いつ告白するの?」


智未ちゃんは面白そうに身を乗り出してきた。



「ま‥まだ‥そこまでは‥そ‥それに、心の準備も出来ていないから‥。」


私は恥ずかしさのあまり、顔の前で手をぶんぶんふった。



「フフフ。じゃあ、そんな美凪に告白するチャンスをあげる!」



「えっ!?い‥いいよ!まだ‥私には‥!」


「まぁ、話だけでも聞きなよ。夏休みに入ってすぐ県大会があるんだよね。それで‥須崎先輩も3000メートルに出場することが決まってるの。そこで、走り終わったところに、美凪の愛の告白を‥!」


智未ちゃんが両手を広げて天を仰いでみせた。


「そ‥そんなこと、できるわけないじゃない!私にはそんな度胸なんかないよ!」


「大丈夫大丈夫。ふられても私が慰めてあげるから。」



「ふられる前提で話を進めないでよ!!」


この友達はからかっているのか、真剣に考えてくれてるのか‥分からない。



「‥というわけで、美凪は須崎先輩がもし、いい結果を残したら告白する!以上!」



「以上!‥‥じゃない!!智未ちゃん、ちゃんと話を聞いてよー!」



私の声が教室に響いてしまった。