「なぁ、またプラネタリウム見に来ていいか」


帰るというときになって、玄関で靴を履きながら、多賀宮くんは玄関に立つ私をじっと見あげた。


あんなキラキラした目でプラネタリウムを見る多賀宮くんを見たら、断れるはずがない。


それに……あんな顔、また見たいって、思った。


「うん。いいよ。水曜日なら夜は確実に私ひとりだから。予備校が終わる水曜日の夜に来てくれる?」


私の言葉に、多賀宮くんは目を細めた。


「お前な、それはマズイだろ」

「なんで?」


水曜日の夜に用事でもあるのかな?


だけど多賀宮くんは、

「勘違いする」

とだけ言ってきびすを返し、ドアを開けてさっさと出て行った。


さようならの挨拶もなし。