「えっ」
「見せろ」
「あ、うん……」
なんで彼はこんなに偉そうなんだろう……。
頼まれているのか脅されているのかわからないまま、立ち上がって入口ドアの横のボタンを押した。
すると窓がある壁以外に作りつけられた本棚の上から、暗幕が自動でゆるゆると降りていく。
「電気消すね」
部屋の明かりを消し、床に置いていた家庭用プラネタリウムを起動させると、高い天井や壁に、十二万個の星空が浮かび上がった。
「わ……」
多賀宮くんが、声を上げる。
まるで子供みたいな顔をして天井を見上げるから、なんだかちょっと嬉しくなった。
この部屋を設計したのはお父さんだから、お父さんのことを褒められたような気がした。
「すごいでしょ! これを家庭用と侮るなかれ、星好きの本物志向のための、シリーズ最高級モデルなんだよ。しかもランダムで流星だって流せるし、このリモコンで操作したら、自分の誕生日の夜空だって流せるんだか、きゃっ!」
調子に乗ってペラペラと機能の説明をしていたら、気がつけば多賀宮くんに、肩を抱かれて、体を引き寄せられて。
振り返ると同時に、彼のひとさし指が、そっと私の唇の上に乗った。
「……うるさい。少し黙ってろよ」
低い声でささやく多賀宮くん。