タクシーを拾って多賀宮くんを押し込み、家に帰った。
今日もお母さんはいない。いたらどうなっていただろう。絡まれたところを彼に助けてもらったって話したら、きっと大騒ぎしてたに違いない。
そんなことになったら、かえって迷惑をかけることになる。いなくてよかったかも……。
ホッとしつつ、彼の傷を洗面台で洗い流し、3階の私の部屋へと連れて行き、救急箱から取り出したガーゼで傷をふさいだ。
「……終わりました」
ホッと胸をなでおろすと、
「なぁ」
怪我なんかどうでも良さそうに、多賀宮くんは部屋を中をぐるっと見回した。
なんだか目がキラキラしている。
私の部屋は、窓際にベッド、それ以外の壁は作り付けの本棚になっていて、天井の高さまでぎっしりと本を詰められる。
当然ある程度の高さになるとは手が届かないから、ハシゴもついている。本好きにはたまらない部屋になってる。
多賀宮くんも本が好きなのかな?
そんなことを思ったら、彼は天井を指差した。
「この部屋、どういう作りになってんの。天井、かなり高いし。ドームになってないか」
「ああ……ここ、プラネタリウム室にもなってるの」
「なにそれ、見たい」