「舐めときゃ治るよ」
「そ、そんなわけないでしょ!」
そして、どうでもよさそうに行ってしまいそうになる多賀宮くんに、後ろからしがみついた。
「治療しなきゃダメッ!」
「お前なぁ……」
私にしがみつかれた多賀宮くんは、ハァとため息をつきながら肩越しに振り返った。
「血も出てないし、たいしたことない」
「よくないよ! 破傷風とか、怖いんだよ、舐めちゃダメ!」
放っておけるはずない。しかも私を助けるために負った傷なのに。
どこにも逃さないぞと腕に力を込めると、
「わかったわかった。お前、普段は弱そうなのに、変なところで頑固だな……」
根負けしたのか、また頭上からため息が聞こえた。