壊れそうなくらいドキドキしている心臓も、そうやって抱きしめられている間に、ここは安全な場所なんだって理解して、落ち着きを取り戻し始めていた。
「……ごめん、もう、大丈夫」
私の言葉に、多賀宮くんは「あっそ」とうなずく。
その声があまりにも近いから、顔を上げると、至近距離で目があう。
お互いの目にお互いの影が映るくらいに、近く。
「……お前の目って」
「ごっ、ごめんっ!」
多賀宮くんは何か言いかけていたけれど、それどころじゃなかった。
慌てて距離をとり、なんとか立ち上がる。そして多賀宮くんに向きあった。
「あの……助けてくれて、ありがとう……」
「いや……まぁ、たまたま運が悪かっただけとは思うけど、当分あのコンビニには行かないほうがいい」