ビジネス街の大通り沿いを駆け抜け、左折したり、右折したり、肺が苦しくなって、なんでこんなに必死になって走っているのかわからなくなったところで、腕をまた強く引かれた。


「こっちだ」


ビルとビルの隙間の、路地裏に身をひそめるようにして入り込むと、多賀宮くんは壁を背にして私の体を正面から抱き寄せる。


本当に何が起こったかわからなかった。


コンビニでミルクティーを買って、絡まれて……そしたら多賀宮くんが現れて……。


「おい、あいつらどこいったっ……!」


バタバタと目の前を男たちが通り抜けていく。


「……っ!」


恐怖で体が硬直する。息ができなくなって、きつく唇を噛み締める。


「……諦めたみたいだな」


しばらくして発せられた、多賀宮くんの言葉に、力が抜けて、ずるずるのその場に崩れ落ちてしまった。


「っ、ううっ……」


安心したら、涙がドバドバ溢れてきた。