外に出ると、むわっとした空気に体が包み込まれる。
クーラーで冷えきった体が混乱するような暑さだ。
もう夜の9時を過ぎたのに、こんなに蒸し暑いと夜も寝苦しいだろうな……。
講義の後、質問に行っていたから帰りのバスの時間まで少し時間が空いてしまった。
冷たい飲み物でも買って帰ろうと、コンビニに向かう。
繁華街から少し離れたビジネス街にあるコンビニは、昼間は予備校に通う学生で溢れている。
だけどこの時間は一気にお客さんがいなくなって、なんとなく寂しい感じがする。
早く帰ろう……。
目当てのミルクティーを買ってコンビニを出たところで、「セーラー服の君、どこいくのー」と、大きな声で呼び止められた。
セーラー服?
思わず立ち止まって周囲を見回すと、金髪の明らかに悪そうな男の人が、しゃがみ込んでタバコを吸っていた。他にもふたり、似たような感じの人がいて、ジロジロと私を見ている。
明らかにタチの悪い人たちだ。
あとずさってコンビニに戻ろうとしたら、
「おいおい、マジモンのJKじゃん」
「しかも結構かわいくねぇ?」
と、あっという間に退路をふさがれ、三人に取り囲まれてしまった。