桜の時期といえば、多賀宮くんと出会った時がまさにそうで、確かにここ最近で1番ナーバスになっていた時だ。


今振り返ってみれば、たぶん中学から高校に環境が変わって、焦っていたせいだと思うんだけど。

親友は私よりも、私という人間のことをお見通しらしい。


「だけど、ガス抜きできたのかな……1週間くらいで戻ってたから、言わなかったけど」


カナは紙パックを畳みながら、目線を手元に落とす。


「昔から、アミカがお母さんの期待に応えるために、頑張ってるの知ってるし。だから休めとは言いづらいけど、たまには息抜きも必要だからね。別に無理してどこかに出かけなくても、私が話し相手になるし」

「うん。ありがとう」


嬉しくて、じんわりと胸の奥から熱いものがこみ上げてくる。


「もう、そんな泣きそうな顔しないのっ」


カナはニッコリと笑って、それから私の頭をヨシヨシとなでた。


こんな風に見守ってくれる友達がいるんだもん。もっと頑張らなくっちゃ。