無意識に、手のひらでむき出しの腕を撫でていた。


「タケル、先生が呼んでるよ」

「わっ、わかってるよ、すぐ行くよ、てか、俺はアミカを邪魔したいんじゃねぇよ、あくまでも気分転換にだな、って、いてえって、耳っ、耳ーっ!」


タケルは引きずられながら、教室を出て行き、それからカナがひとりで戻ってきた。


「ほんとにもう、タケルってバカなんだから……自分が遊びたいだけじゃない」


ブツブツ言いながらタケルの席に座り、紙パックのジュースを飲むその顔は優しい。


昔から、なんだかんだ言ってタケルの誘いに乗ってあげるのは、カナだから。今年の夏もきっとそうなるに違いない。


私も花火くらいは参加させてもらおうかな。予備校の帰りにでも合流できるだろうし。


そんなことを考えていると、ストローをくわえたまま、フチなし眼鏡を指で持ち上げ、じっと私を見つめるカナと目があった。


「どうしたの?」

「あたしもタケルも、アミカが頑張ってるのわかってるから。時々破裂しないか心配になるんだよ」


突然の言葉に、パンフレットをめくる手が止まった。


「あんた、ちょっと前、パンクしそうな顔してたでしょ。桜の時期くらい」


ギクリとして、唇を噛み締める。