かみ合わない会話に虚しくながら、電話を切り、「はぁ」とため息をついた。
お母さんの言う通り、自宅に、この春から通いはじめた予備校の模試の結果が送られてきた。
テーブルの上に置いてある封筒がそう。
判定はE判定。志望校が国立の医学部という難関だというのもあるけれど、散々だ。
私の進路は全て医大、医学部。
父への憧れもある。医者になれたらと思わないわけじゃない。
でもこんな成績じゃ、私に医大なんて到底無理。
だけど私を医者にしたい一心の母にはそれがわからない。私になら出来ると繰り返して、私を追い詰める。
「こんな成績見たら、泣いちゃうかもね……」
テーブルの上に置いていた模試の結果をぐしゃりと握りつぶすと、脳裏にお母さんの悲しげな顔が浮かんだ。
『雨美花はパパの娘なのに、どうしてできないの?』
お父さんが亡くなったあとから、何百回も言われてきた言葉。
どうしてどうして、どうして?
どうしてできないの、なんて、私が知りたいよ!
そう言えたらと思うけど、お父さんを亡くして私を医者にすることを生き甲斐にしてる人に、そんなこと言えるはずがないから。
そんなとき私はギュッと唇を引き結ぶんだ。