ソファーから立ち上がり、何気なくリビングから庭に面した窓のカーテンを開けて、ビックリした。
「まぁ、確かに雨はすごいけど……」
バケツをひっくり返したようなとはよくいうけれど、まさにそんな感じ。他人事と思っていたニュースと同じ景色がそこにある。
これはちょっと怖いかも……。
まるで閉じ込められるような、閉塞感。
いつもはきれいに整えられている庭も何も見えなくて、真っ暗だ。
けれど電話の向こうのお母さんは、私のことなんか御構い無しに、ため息をつく。
【ほら、今日は塾の模試の結果が返って来る日でしょう? だから気になってたの】
「あ……そっか……うん」
【あらあまり良くなかったの? でも大丈夫よ、雨美花はパパの娘だもの。きっと志望校に合格するわよ。お母さんが保証します】
「……ありがとう」
私が落ち込んだように聞こえたのは、成績が悪いからだと思ったみたいだ。
確かにそうなのだけど、違う。違うんだ。
そう言いたいけど、うまく言葉が出てこない。お母さんの機嫌を損ねない自信がない。
【戸締りをしっかりね】
「うん、お母さんも気をつけてね……」