そして多賀宮くんは、シャーペンの先で、トントンとプリントを叩いた。


じいさんって、花山先生のことだよね。失礼な……。


だけどテストを白紙で出すなんて、彼はなんのために学校に来ているんだろう。

先生もこんな人の面倒を見させられて大変だな……。

あきれてものも言えないわ。


「お前、代わりにやってくれよ」

「できるわけないでしょ」


私ははぁ、とため息をつき、カバンから図書館でやろうと思っていた勉強道具を取り出した。

「要点は教えるから、ちゃんと自分でやらないと」




1時間後、かなり面倒くさそうだったけど、多賀宮くんはなんとかプリントを埋めた。


教えてみてわかったけど、多賀宮くんは頭がいい。

一を教えればすぐにその先まで思考が展開して答えを導く。その勘の良さに驚いたし、ちゃんと勉強さえすれば、あっという間にトップに躍り出るに違いないって思った。

だから余計に腹が立った。