「そういやそんなこと言ったか」
あっけらかんとしているからビックリした。
あんなこと言ってクラス中を凍りつかせておいて、忘れてるの? 信じられない!
「い、言ったよ、そのあと私、ちゃんと挨拶したのに、無視されるし……!」
「無視……したか?」
怪訝そうに頭をかしげる。
「したよっ!」
ムカついて、私らしくない大きな声が出た。
なのに多賀宮くんは相変わらずどこ吹く風だった。
なんなのこの人!
「じゃっ、じゃあ聞くけど、そのプリントなにっ?」
言いたいことがあるなら言えばと言ったのは彼だ。勢いで尋ねると、あっさり返ってきた。
「個人的補修」
「え?」
「こないだの模試、白紙で出したからじいさんが代わりにこれ提出しろってさ」