「それに、カナみたいなら美人ならまだしも、私、地味だし。恋愛なんて無理だよ」


大事に取っていた卵焼きを最後に口に入れる。


「何言ってんだよ、アミカ。アミカはちょーかわいいぞ!」


バカバカしいことをタケルが真面目な顔で言い放つ。


「かわいいってどんな風に?」


カナがニヤニヤしながらタケルに問いかけると、


「そうだな、例えて言うなら、あれだ、アミカはタンポポだっ! 子犬だっ!」

「タンポポ……子犬……」


別にタンポポや子犬が悪いわけじゃない。

でも褒められているような気がしないのは、気のせいだろうか。


「だーっ、そんな顔するなってぇ……」

「いや、気にしてないよ、ありがとう。それよりも明日からの実力テスト、頑張らないとね」


タケルはいいやつだから、いつもこうやって励ましてくれる。


「いや、マジで褒めてるつもりなんだよ」


がっくりうなだれ、タケルはそのままシートの上に倒れ込んだ。