「マジで食欲失せるわ」
そう言いながら、パクパクとお弁当のおにぎりを口に運んでいるから、別に本気で傷ついているわけではないんだろうけど、誰とでもすぐに仲良くなるタケルからしたら、多賀宮くんの態度は、相当なカルチャーショックだったみたい。
「ビックリしたね。勇気あるっていうか、なんていうか……」
多賀宮流星とタケルのやり取りは、うちの教室のみならず、他のクラスにもあっという間に伝わってしまった。
転校生で、しかも1年生。
友達ができるかなとか、いやな感じの子がいないかなとか、不安があって当然のはずなのに、多賀宮くんは誰も自分に関わるなとはっきりと言い、それを破って近づく人間(私だけど)を排除した。
すごい。私には絶対真似できない。
いや、真似したいとも思わないけど……。
「なのに、女子はみんなクールでかっこいいって! 結局は顔なんだな、くそっ!」
大げさにのけぞって、タケルはそのまま背後に大の字になって倒れたかと思ったら、またガバッと起き上がって私の顔を下から覗き込んできた。
「アミカもああいうのが好きなのかよ」