急いで短パンを履き、彼の枕元に立ち顔を覗き込む。
ベリーショートの黒髪に、伏せられたまつ毛は長く、目は切れ長だ。高い鼻にふっくらとした唇。手足が長く、背が高い。だから普通のベッドが少し狭そうに見える。
よかった。生きてる……。
「なぁ、アミカ」
「ん?」
「医者である前に、おじいちゃんとしては、大事な孫娘がなぜあんな時間にあんな場所にいたのか、気になるんだがね」
「……それは」
顔を上げると、私を強く責めるわけでもなく、本当に理由を知りたいというおじいちゃんの顔があった。
心配かけちゃったんだ……。当然だよね。
でもさすがに、どこかに消えてなくなりたくて、家を抜け出したとは言えない。そんな感情、私を可愛がってくれるおじいちゃんに知られたくない。だから嘘をついた。
「その……ちょっと疲れてて……外の天気がすごいから、歩いたら気分転換になるかなって……」
「気分転換……」
おじいちゃんの顔に、そんなことあるか、ないだろと書いてある。
でも私は、嘘と思われても本当のことを言うわけにはいかなかった。
「危なかったよね。心配かけてごめんなさい。そしてこのことは、お母さんには言わないでくれると助かる……お願い。もうこんなことしないって約束するから」
早口でそれだけ言い、背の高い祖父を見上げた。