目をさますと、白い天井と、それから私の顔を覗き込む、白衣の祖父の顔があった。


「……おじいちゃん?」

「目、覚めたか。大活躍だったな、アミカ」


彫りの深い熊みたいな見た目に、大きな体。顎を覆う短くきれいに刈り込んだ白いひげ。白衣の胸元には『院長・新井山隆春(にいやまたかはる)』と名札が付いている。


そろそろ70歳になろうかという歳だけれど、老いは微塵も感じさせない、大好きで、尊敬する私のおじいちゃんだ。


「大活躍って……?」


頭がぼーっとする。意味がわからなくて首をかしげると、

「おいおい、忘れたのか。人命救助だよ」

豪快に笑って、壁に立てかけてあったパイプ椅子を引き寄せ、どかっと腰を下ろした。


「孫と知らない男が救急で運び込まれてきたんだ。ひっくり返りそうになったが、よくよく聞いてみりゃ、通報したのはアミカだっていうじゃないか。発見が早かったのと、お前の適切な処置のおかげで、彼は息を吹き返したんだ」

「彼……あ、そっか! 私、救急車みたら、ホッとして気を失っちゃったんだ……」


この街で1番古く、大きい病院を経営しているおじいちゃんは、亡くなった父方の祖父だ。


先祖代々、一族のほとんどが医者か、医学者という新井山家の長でもある。