「あ、はい、そうで、す……!」


豪雨のせいか前がよく見えない。

だけど蘇生の手は止められない。

助けなきゃ。この人が息をするまで、やめられない。


「そこで、溺れてましたっ……!」

「わかりました、あとはこちらに任せてください!」


任せろという言葉通り、救急車からストレッチャーが降りてきて、彼がのせられる。
すぐに酸素マスクがつけられるのが見えた。


ああ、よかった。よかったぁ……!

きっと助かるよ……よかったね……。


その瞬間、ストレッチャーの上の彼が、目を開けて、私を見たような気がしたのだけれど――。


「……えっ、ちょっと、君、大丈夫!?」

「え……?」


なにが?


救急隊員の顔が近づくと同時に、目の前が急に、真っ暗になった。