ドキドキしながら、インターホンを押す。
返事がない。
って思ったら、ドアから恭介君が出てきた。
「なに」
「…ちょっと話したい」
「俺は話したくない」
いつもの恭介君じゃない。
私、なにかしたかな。
「このまえ、大翔といたよな。なにしてたんだ…?」
「一緒に出かけたっていうか…」
「知り合ってすぐ一緒に出かける仲なんだ」
「遥のお店で働いてる人だし。」
恭介君は頭をかいて、困った顔をした。
「優衣のことよくわかんねーわ」
急にそんなこと言われて、悲しくなった。
「私だって恭介君のこと分かんないよ…」
泣きそうになるのをこらえる。
「なら聞けよ。」
私は今日もともと聞きたかったことを、頑張って口にする。
「恭介君…。恭介君はお母さんとお父さんがいない、の…?」