恭介君が話しかけてきたの…わかってたのに。
酷いってわかってるけど。
この前の花火の時。
愛海さんが来て、それで花火どころじゃなくなって。
「…わりぃ優衣。とりあえずこいつの事情聞かなきゃいけねーから…」
「あ。ううん!平気平気!明るいところまで一緒に来てくれれば、
一人で帰れるから!」
「そうか…じゃあ駅前まで送る」
その時以来、なんでか恭介君と話せてない。
恭介君は話しかけようとしてくれてるのに。
このまま一生話さないままでいいの?
「優衣?もう授業終わってるよー?」
花恋が私の顔を覗き込みながら言ってくる。
「あ。もうお昼だー。お腹すいたね!」
「うん。そうね」
私はお弁当を袋から出す。