あの時は走ってたから、驚いたけど。

今考えると、嬉しい。

名前で呼んでもらえたことが、何より嬉しかった。



「…優衣?」


胸の鼓動が一気に速くなった。

急に呼ばれても…!!

「っぷ。なに変な顔してんだ。名前なんていつだって呼んでやるよ」

「変な顔なんてしてないよっ。」

気づいたら、足首に湿布と、軽く包帯を巻いてあった。

「恭介君は意外と、器用なんだね」

「意外じゃねーよ。当たり前だから」

私たちは、顔を見合わせて笑った。


…恭介君の、自然に笑った顔。

初めて見たかも。

こんなに爽やかで、かっこいい笑顔。



ドキドキ…


これは。ど、どうしよう。

恭介君…