「あ…この道」

優衣もようやく気づいたようだ。
季節は違うけど、景色は同じ。


去年の夏祭りで花火を見るために来た、穴場。

「もうすぐ一年経つんだね。早いなぁ。」

「そうだな。」

くらい階段を登りながら、話してた。
今まで離れてた手がまた繋がれる。

多分、暗いから怖いんだろう。

そういうところが、なんつーか…子供?


いや、内心可愛いとか思っちゃってるけど。


「やっと着いた!やっぱりいい景色だね」

夜景が良く見える。


車が渋滞してるのも、ビルの電気が付いたり消えたりするのも見える。


「優衣に言いたいことある」

夜の誰もいない中、俺の声だけが響く。

「ん?そんなに改まってどうしたの?」

優衣はなんの疑いもなく、ニコニコしながら聞いてくる。

いや、もしかしたら気づいてる?


「手、貸して」

俺は優衣の手を取って

「目、十秒閉じてて」

目を閉じさせる。