「バカじゃないもん」
まだしょぼくれてんのかよ。
優衣の目の前に、フォンダンショコラと、タルトタタンが運ばれてくる。
さっきまでの顔とは裏腹に、満面の笑顔になる。
変わりすぎ、色々と。
「見てみて!いい匂い〜」
俺は携帯のカメラで、優衣のことを撮ってた。
それはもう、本当に無意識に。
「あ。今、撮った〜?」
優衣がそういった瞬間も写真に収める。
「ちょっと…は、恥ずかしいよ」
目の前のご馳走を食べられなくて困ってるからさすがにやめてあげた。
優衣は、甘そうなフォンダンショコラを一口食べると、本当に幸せそうに笑った。
「おいしい!恭介君も食べる?」
「いい」
甘いのは嫌いじゃないけど、フォンダンショコラはあまり好まない。
それに、優衣が食べてるのを見るのが好きだし。
「そういえば、花恋が大学始まる前に、また4人で遊ぼうって!」
そういえば、あいつらとは卒業式以来会ってない。
お互い忙しいし、会う暇もなかった。
優衣は篠山のやつと会ってたらしいけど。
「そーだな。久しぶりに」
俺のその一言で、優衣が嬉しそうに笑う。
「卒業式、懐かしいね〜。つい最近だけどさ。」