「それに…恭介君はきっと嬉しいはずです。
家族がいることの嬉しさは…誰もが感じることですから。」
私はそれだけ言って逃げるように、外に出てきた。
は、恥ずかしい〜。
何言っちゃってるんだろう私。
そんなことより、恭介君探さなくちゃ。
どこまで行ったのかな。
電話をかけると、すぐに出た。
《もしもし?》
「今どこにいるの?」
《さあ?どこでしょう》
電話越しに聞こえる声が、本当に近くにいるみたいに聞こえる。
「会いたい」
自然に出た言葉がそれだった。
だって、今の話聞いて。
もしかしたら、恭介君が堀先生の弟だったら。
そう考えるだけで、恭介君の気持ちが気になる。
聞きたいっていうか。そばにいたい。
だから、今すぐ会いたい。