「なんでそんなこと聞きたいの?知ってどうするんだ?」
恭介君…なんか怒ってるよね。
「…」
理由なんて、言えなかった。
特に、みんなのいるところでは。
「理由言わないなら、俺は行かない。俺が行かないなら、お前も行かせない。」
そう言われて、昼休みの空気は一段と悪くなった。
こんなはずじゃなかったんだよ。
私が、堀先生の弟のことを知りたいのは…
その後の授業は全然まともに聞けなくて。
「はい。ここを…中武読んで〜」
「え!あっ。は、はい!えっと…」
話を聞いていなかったから、どこを読んだらいいのかわからない。
「97ページ」
大人しく、先生に言われたところを読む。
読み終わると、またぼーっとし始める。
放課後。
恭介君がカバンを持って先に教室を出てしまった。
あ…どうしよう。私、嫌われちゃったのかな。
「優衣ちゃん!早く追いかけな?
あいつが優衣ちゃん嫌いになるわけないから」