「優衣…」

私の目を見て、名前を呼んでくる。

「ごめん、意外と余裕ない…」


そう言って、俯く恭介君。

私はそんな彼をぎゅっと抱きしめる。


「ごめん。ほんとにごめんなさい。」

恭介君を見てたら、涙が溢れてきた。

こんなに素敵な人を困らせてる。

大好きなのに。



「はぁ…なんで俺が慰められてんだろうな。」

そう呟いて、私を抱きしめる。

「優衣が誰かに好かれるのは仕方ないけど。
好きになられるのは嫌だ」

「う、うん…?」

言ってる意味が、わかるようでわからない。


「わかんなくていい。つか、分かるな」

何故か照れてる恭介君。

なになに?気になるよ。

「私…ずっと恭介君のそばにいるからね?」

「たりめーだばか」

私のほっぺをつねって言ってくる。





「授業始まってるな」

冷静になるとたしかにそうだ。

チャイムが鳴って、誰もいなくなって。


私たちはずっとここに。