「よし。じゃあ、私帰るね?」

「送る」

「え?いいよ!」

「うるせー。行くぞ」


強制的に、一緒に行く。


帰り道、黙りっぱなしだけど。

俺は全然苦じゃなかった。

優衣がチラチラ俺を見て、ニコニコしてる。

そんな姿を見てれば飽きない。



彼氏彼女になると、言えることが増える。

でも、言えば言うだけ、恥ずかしさが増す。


だから、敢えて言わない。


「送ってくれてありがとう!また、私の作ったご飯食べてね」

「ああ。いつでも」


できれば毎日…とか言えるわけない。

家に入っていく優衣の後ろ姿。

引き止めたくなる。

好きだから。