「嫌がってますけど?」
だ、誰…?
「あ?お前、こんなとこでなにやってんの?
学校の人気者さん?」
学校の人気者…恭介君?
「や、見るからに怯えてるし。
丁度通りかかって、助けないやついます?」
「ほっといてくんない?このことこれから遊んで…」
「うるせーな。さっさと離せっつってんの。」
恭介君は相手の言葉に被せて言う。
怒ってるのが声だけでわかる。
でもその瞬間、腕からの感触がなくなった。
「…んだよ」
シンジさんが去る音が、聞こえた。
力が抜けて、崩れ落ちそうになる。
それを恭介君が、抱きとめてくれた。
「俺は、やめとけって言った。」
頭の上からそんな声が聞こえてくる。
さっきの怒った声とはまるで別人。
「もう立てるだろ?」
「う、ん。」
恭介君が私から離れる。