本当は…なにかに焦りを感じてたんだ。


「わかってるよ?俺ら何年の付き合いだと思ってんの。今年で18年目。わかってない方がおかしいよ。

俺が花恋を理解してるなら、花恋も俺を理解してる。そう考えたっておかしくないだろ」

恭介君にいつものふざけた雰囲気はない。

1人の男の人として、花恋と一緒にいる。

「だから、俺の気持ちに気づいてる。

俺の口からはっきり聞いてないから。

本当のことを知りたくないから。
だから知らないフリしてるんだろ?」


全て知った上での、今日の行動。

私はここまで言われないと分からないけど、花恋なら気付いてたのかな。


「あたしは怖いの…あんたの気持ち知ってしまって。

でもそれが違ったら?違って今まで通りじゃなくなったら?

あたしは、また一人になるかもしれない。それが怖い」


一人って…なんのこと。

「元々、『翔離れ』をしたかったから、冷静な女になったの。

それなのに、なに?今朝のは。あたしの気持はどうなるの。考えてはくれないの?」

「お前は馬鹿か!

もしお前の考えが違っても俺は花恋から離れたりしねーよ!離れても行かねーし。

つか、お前が勝手に俺から離れて行ってるんだろ。

離れていくな!側にいろ!ずっといろ!

なんでここまで言わなきゃ納得しねーんだ。ばか!このばーか!」

まるで駄々をこねる子供みたいに、言いたいことをぶちまける翔君。

あ、これが幼馴染。

本音でぶつかるって、こういう事だ。