堀のやつにむかついてるんだな。

篠山のやつは、全然気にしてないみたいだけど。


「翔君大丈夫?表情…険しいよ?」

その点優衣は気づいちまう。

篠山と優衣は反対の性格な気がする。


「え?ううん!大丈夫だって〜
優衣ちゃんに心配されるほど、弱くないって!」

翔はそう言ってその場をしのいだ。

こういう時の逃げ方はうまい。



やっと放課後を迎える俺。

今日は優衣がいねー。

篠山と遊びに行くとか言ってたし。


音楽聞きながら帰るか。

あ、イヤホンを教室に忘れた。


せっかく正門まで来たのに、俺は教室に戻る。

「やめてくれないすか?」


教室に入る直前で、そう言う翔の声が聞こえた。

「なんだよ、急に」

返事をした声の主は、たぶん…堀だ。


「だから、花恋にいちいち近づくなって言ってる」