「いるよ。優衣ちゃん降りて良いよー」
私は言われるがまま、車を降りる。
目の前には恭介君。
「じゃ、二人とも早く帰るんだよ~」
先生は車を発進させて行ってしまった。
「今日二回目」
「え?」
上から降ってきた低い声に、顔を向ける。
恭介君が怒ってるのが見て取れる。
「二回も心配させんな。ばかでもわかる」
そういうことか。
「ごめん」
「最初から、俺に電話しろよ。今日はたまたま、あいつがいたから良いけど、いなかったらどうすんだ」
恭介君がいつもより優しく言ってくれてる気がする。
男の人が絡んでるからなのかな…
「ま、よかった。なんともなくて」
そう言って、私の頭に大きな手のひらを乗せる。
温かい手が私を妙に安心させる。