「あのさ…この前、堀先生と二人話してたよね?」
聞いていたんだと驚く素振りは何も見せずに、
「うん?それがどうした?」
そう言って、逆に追求を求めてきた。
「いやぁ~、何話してたのかなって思って」
私は少し控えめに言った。
でも、花恋は躊躇することなく答える。
「なんか怪しい感じがしたから、何か隠してることでもあるのかと思って探ってたの」
花恋がそこまでするほど、堀先生には何か隠していることがあると思ってるんだ。
「まぁ、今のところ、なんにもないさの一点張りよ」
残念そうにため息をついた。
でも…
「どうしてそんなに気になるの?」
「ん~。やっぱりちょっとかっこいいからかな。何隠してるのか気になっちゃうのよ」
へーと間の抜けた声を出した。私には分かりそうにない感覚だよ。
「さ、そろそろ出ようか!」
花恋はすっきりしたように言い出した。
私たちは駅で別れた。
…堀先生かぁ。
顔を思い浮かべると、確かにイケメン。
文句などどこにもつけられない。
その点でも、恭介君とどこか似ている。
それに、顔もちょっと似ているかも…ってこれは考えすぎな気がする。
そのあとは堀先生を考えることはやめた。