最初にあったときに、どこか悩んでいる風に見えたのはこのせいか。


「そんな風に思ってないと思うけど…わかった」

「ありがと…」

「その代わり、俺には話せよ。聞いてやるよ、兄としてな」

俺は勝手に兄貴面してみた。

その理由は単純で、そのとき見ていたテレビドラマが兄弟物だった。


兄弟なんかいない俺は少し憧れた。

こんなところで演じれる日が来るとは。

中学生にもなってって、今になって恥ずかしい。


何気なく愛海を見ると、なぜか泣いてた。

「は?なに。どうした。」

動揺するしかない。急に泣かれて、その原因も分からない。

なんなんだ。

「嬉し泣き!見るな!」

恥ずかしがって顔を隠される。

つくづくよく分からない女だって本当に思った。


その後から、愛海は俺によく懐いた。

言い方は悪いけど、本当に犬みたいだった。