いい加減時間が過ぎて、二人とも崩れる。


「大翔…もう喧嘩やめろよ」

「お前に関係ない」

「お前は知らないだろうけど。おばちゃん手紙残してた。施設のみんなに」

大翔の顔はあえて見なかったけど、たぶん相当驚いてたと思う。

大翔はおばちゃんが亡くなって、全然施設の奴らとのつきあいが悪くなって手紙を渡す機会が無かった。


「帰ったら見ろよ。じゃあな」

俺は先に施設に戻った。


その日から、大翔は前の大翔に戻った。


中学2年になる冬、大翔は金持ちの家に引き取られることになった。


「じゃあな、恭介。お前が俺といてくれて助かった。」

それはこちらの台詞だ、とは言えなかった。

「そうか。」

「恭介らしい別れだよ、じゃあな!」

「元気でな」


大翔は、いつも通りにこにこ笑って出て行った。



俺もその2週間後くらいに、引き取られることが決まった。